介護の仕事は利用者の日常生活全般をサポートするため、排泄の介助も避けては通れません。ただし排泄介助の対象は、高齢者や身体の不自由な方がほとんど。介護現場では利用者一人ひとりの排泄パターンを把握することはもちろん、加齢や疾病を原因とする高齢者特有の失禁の種類や症状さらに対策についても、介護用語の一つのカテゴリーとして、あらかじめ知っておく必要があります。
まず最初は腹圧性失禁です。これは咳やくしゃみ、あるいは重い荷物を持ち上げるといった、腹圧がかかるような動作をした際に、意思に反して失禁してしまう症状を指します。原因は加齢による骨盤の筋力低下や支持構造の脆弱化、閉経による女性ホルモンの低下などが挙げられます。この対策として、骨盤底筋を鍛える体操を取り入れる介護現場もあります。次の切迫性尿失禁も、介護の現場ではよくあるケースです。膀胱に尿が少ししかたまっていないのにも関わらず、過敏になった収縮筋のせいで膀胱が縮んでしまい、突然の尿意に我慢できずに失禁してしまうのです。原因としては膀胱炎や膀胱結石あるいは脳の血管障害やパーキンソン病などが考えられます。対策としては原因となっている疾患の治療を優先することです。
最後は溢流性尿失禁です。これは何らかの理由で尿閉が起こり、少量ずつ尿が漏れる症状を特徴としています。原因には前立腺を狭窄する肥大症や糖尿病、女性であれば子宮ガンのケースもあります。対策は尿閉の疾病原因を治療し、必要であれば定期的にカテーテルで残尿を減らす措置も行います。